DVDダビングでよみがえる、家族の思い出
富士フイルムのサービスをご利用いただいたお客さまの声①

いつも笑顔でシャッターを押していた
四十九歳 男性
父の遺品整理をしていたら、押し入れの奥から茶箱が出てきた。埃を払い蓋を開けてみると、カメラと数本のフィルムが入っていた。箱書きには丁寧な文字で兄と私の名前が書いてある。
昭和四十七年、私が生まれた年だ。映写機は壊れてしまって映写することができない。友人がネットでDVDにして喜んでいたことを思い出し、早速注文してみる。
数週間後、DVDが送られてきたので母と一緒に観ようと思い、実家に持っていき、再生してみる。そこには幼い頃の兄と私が映っていた。家族で遊園地に遊びに行った時の記録だ。画面を見つめる母の表情がふっと明るくなった。
堰を切ったようにこの日のことを昨日のことのように話はじめる母。車のエアコンが壊れて暑かったこと。買ったばかりのアイスを落としたこと。兄が乗り物を怖がって泣いてばかりいたこと。私はまだ小さかったから、この日の記憶は無い。母はあの頃に戻ったように少しはしゃいでいる。そこに映る若かりし頃の母。撮影しているのはいつも親父だった。ファインダーを覗く眼差しから、親父が笑っていることが感じられる。
二人で映像に見入っていると、私をだっこして新幹線の遊具に乗っている父の姿が一瞬だけ映った。その表情はどこか今の自分に似ていた。