スペシャル記事- vol.21
子どもの“その時”を写真に。
笑顔と一緒に残しておきたい5つのこと。
前回、「子どもの日常を写真に残すことが何より大事」というお話をしてくださった、元先生という経歴を持つ写真家の鈴木秀康さん。
そんな鈴木さんは、子どもから自然な表情を引き出すのがとってもお上手です。今回は、どうすればいい表情の写真が撮れるのか、笑顔と一緒に残しておくといい5つのことなどを教えていただきました。
子どもを撮る時は、子どもの機嫌をいちばんに
――鈴木さんは、これまでたくさんのお子さんを撮影されていますが、子どものいい表情を引き出すために心がけていることはありますか?
鈴木さん
「これは日常というよりは、七五三だったり誕生日だったり、ちょっと特別な日に特に気をつけていることになるんですが、いちばん大事なのは子どもの体調や気持ちを優先してあげることです。
大人が撮りたい!と思うタイミングでも、子どもの機嫌がいまいちだったら撮影してもいい表情は引き出せません。撮影に伺った時でも、子どもの機嫌が良くなかったら、無理に写真は撮らずに、おしゃべりしたり遊んだりして、ゆっくり待つようにしています。
機嫌がいい時は自然といい表情になるし、もし無理に撮ってしまうと、その時はなんとか撮影ができても、写真嫌いになって次から撮らせてくれなくなる可能性もあるんです。なので、子どもの気持ちをいちばんに考えてあげてくださいね」
つい顔をアップにしたくなるけど、その場の状況も一緒に写して
――アルバムを作っていると、お子さまの顔ばかりで同じような写真になってしまう…というお悩みが多いようですが、どうすれば単調にならないでしょうか?
鈴木さん
「子どもの顔ってかわいいから、ついアップにしたくなる気持ちはわかります(笑)。でも、アップにしたい気持ちを抑えて、ちょっと引いて情景を写すようにしてみてください。
どうしてその表情になったのか、情景が写っているほうが後で見返した時にも記憶に残りやすくなると思います。
また、子ども自身にカメラを持たせて撮らせるのもおすすめです。その時の背の高さで見えているもの、興味があるものがわかって面白いですよ」
子どもの笑顔と一緒に、残しておきたい5つのこと
――少し引いて情景も写す、子どもにカメラを持たせてみる。そうすると、写真のバリエーションが広がりそうですね。子どもの日常を残す視点で、写真に残しておくといいことはありますか?
鈴木さん
「そうですね。“その時”を残す方法は笑顔の写真以外にもいろいろあると思います。僕がよく撮っている具体例を5つご紹介しますね。
1つ目は子どもの手や足を撮ること。
手や足などその年齢ならではのフォルムで、すごくかわいいですよね。顔が写っていなくても、その時らしさがすごく残せると思います。
2つ目は、その時に夢中になっているもの。
好きなおもちゃやキャラクターを撮ったりするのもいいですね。
3つ目はその時にしかできないこと。
子どもは成長スピードが早いので、ハイハイのようなその時にしかできない動きはぜひ撮ってほしいです。
4つ目は、さっきの逆でその時はできなかったこと。
今はまだ上れない階段の前に立っている写真などを残しておくのも、成長が感じられていいと思います。
そして5つ目は、ふとした瞬間に見せる思いがけない表情です。
子どもの写真を撮る人のほとんどが笑顔を撮りたいと思うんですが、思いがけず見せた大人びた表情や、こんな顔するんだ!という写真もぜひ残しておいてほしいです。
子どもの日常をもっと写真に。たくさんのご家族がお子さんの日常を写真で残してくれるようになったら、うれしいなと思います」
前回のコラム「“元先生”の写真家に聞きました。子どもの写真で、いちばん大事なことって何ですか?」はこちらから
●プロフィール
鈴木秀康さん
1995年生まれ。東京都在住。早稲田大学教育学部卒業。元先生という経歴を持つ写真家・フォトグラファー。#子どもの日常をもっと写真にというタグを考え、何気ない子どもの日常を写真に残す価値を広めている。Instagram / Twitter:@hidegraph
*写真提供:すべて鈴木秀康さん