スペシャル記事- vol.20

“元先生”の写真家に聞きました。
子どもの写真で、いちばん大事なことって何ですか?

2020/11/30

2020/11/30 TwitterFacebook

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“学校の先生”という経歴をもつ、写真家の鈴木秀康さん。
現在は、子ども向けのカメラ教室を開催したり、Instagramで11万投稿を超えるハッシュタグ「#子どもの日常をもっと写真に」をつくったりと、子どもの何気ない日常を残すことの大切さを伝える活動をされています。

今回はそんな鈴木さんに、子どもの何気ない日常を魅力的に撮るコツや、なぜ子どもの写真を撮るの?という、元先生ならではの視点でお話を伺います。

以前は学校の先生。
どうして子どもを撮る写真家に?

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――今日はよろしくお願いします。鈴木さんは、学校の先生という写真家としては少し変わった経歴をお持ちですが、どうして写真家になられたんですか?

鈴木さん
「カメラを始めたのは趣味がきっかけで、大学時代に小さな一眼レフを買ったのが始まりでした。在学中に教育団体でボランティアもしていたんですが、そこで写真を撮る機会もあり、どんどん写真の魅力にハマっていって。そのうち、カメラでお仕事を依頼されるようにもなったんです。

僕は子どもたちに影響を与える仕事として教員を選んだのですが、中高の社会の先生として働くうちに、自分の得意とする写真のほうが世の中にプラスの影響を与えられるんじゃないか?と思うようになって。教育×写真という発信も面白いかもしれないと思い、先生を辞めて写真家の道に進むことにしました」

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――写真の中でも子どもを撮ることを中心に活動されているのも、学校の先生と通じるものがあるのでしょうか?

鈴木さん
「そうですね。学生時代にモデルさんやウェディングの撮影など、いろんな種類の撮影をさせてもらったんですが、自分の中でいちばんワクワクするのが、子どもと関わること、子どもを撮ることだったんです。そのなかでも、日常を残しておくことは、子どもたちにとってすごく大きな意味があると思ったので、#子どもの日常をもっと写真に をつくるなど、力を入れて取り組んでいます」

何のために、子どもの写真を撮っているの?

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――鈴木さんが開催されている大人向けのカメラ教室で、「何のために子どもの写真を撮っているの?」と問いかけをされて、すごく反響があったようですね。

鈴木さん
「カメラ教室に参加される方はもちろん、多くの方が子どもの写真をうまく撮りたいと思っていらっしゃいますよね。でも、僕がいちばん大切だと思うのは『何のために写真を撮るのか』ということ

写真には2つの価値があるんです。

  • かけがえのない思い出を永遠のものにする
  • 永遠の思い出を、目の前に蘇らせる

これはドラマか何かで聞いた言葉なんですけど、僕自身すごく印象に残っていて。

この2つの写真の価値を子どもという視点で考えると、何気ない日常を残すことがすごく大切だと思うんですよね。

僕自身、小学校入学前の記憶ってかなり断片的で。だからこそあの時はこんな部屋に住んでいたんだ、こんなおもちゃに夢中だったんだって、写真を振り返った時に何気ない日常を思い出せるように残しておく

写真がブレていても全然いいんですよ! それも、ブレちゃうぐらいすごく動き回る子だったっていう記録のひとつだと思います」

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――ついきれいに撮ることに気がいってしまいますが、「子どもの日常を残す」ために撮るのだから、きれいに撮れたかどうかは二の次でいいんですね。

鈴木さん
「今はSNSでいろんな写真を見る機会も多いので、自分は上手く撮れてないなぁ…なんて比較してしまうこともあると思います。

けれど、子どもの日常を、親から見たありのままで写真に残すことがいちばん価値のあること。カメラじゃなくてスマホでも十分だし、映えるショットじゃなくても、ピントがボケていても、日常を残すことに意味があると思います」

「親から認められている」という感情につながる気がする

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――撮った写真は、どのようにするのがいいでしょうか?

鈴木さん
「撮ったままデジタルデータとして残しておいても、親子で一緒に見よう!となることは少ないと思うので、やっぱりプリントして、アルバムのような形にするのがいいと思います。

何かの研究結果として発表されていたんですが、子どもが描いた絵を家に飾ってあげると、子どもの自己肯定感が上がるそうなんですよね。
同じように、子どもが写っている写真を飾ってあげたり、すぐに見られるようにしてあげたりすると、親から認められているっていう感情につながっていくんじゃないかなと思います」

※富士フイルムがメインパートナーとして協賛しているほめ写プロジェクトでも子どもが写っている写真を飾ることで、子どもの自己肯定感が高まるとの調査結果が出ています。


「何のために写真を撮るのか」、たくさんの気づきをくださった鈴木さんのお話。
次回は、子どもの笑顔といっしょに残しておきたいことや、いい表情の引き出し方などについて伺います。

続きのコラムはこちらから

●プロフィール

鈴木秀康さん

鈴木秀康さん

1995年生まれ。東京都在住。早稲田大学教育学部卒業。元先生という経歴を持つ写真家・フォトグラファー。#子どもの日常をもっと写真にというタグを考え、何気ない子どもの日常を写真に残す価値を広めている。Instagram / Twitter:@hidegraph

*写真提供:すべて鈴木秀康さん

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