「WALL DECOR journal」Vol.6は、レディースブランド「Uhr(ウーア)」を立ち上げた、ファッションディレクター・濱中鮎子さんをお迎えしました。
ー濱中さんの愛猫チャイは、様々な媒体でお見かけしますね。出会いについて教えていただけますか?
静岡県にあった猫カフェが何かの事情で閉店した際に、ある方がお店と猫をそのまま引き取り、そこで里親の活動もされはじめて。チャイはその猫カフェのオリジナルスタッフでした。のちにチャイのお腹に病気があること、加えて多頭飼いにも向いていないということがわかり、里親サイトに出されていました。ネガティブな情報とともに「この子をもらってくれませんか?」とネット上で二ヶ月ほど掲載されたままだったので、ずっと気になっていて…ならば夫と会いに行こうと。すぐに一緒に暮らすことを決めました。
チャイというお名前は?
もともとついていた名前なんです。猫カフェ時代は副店長でした。店長ではなく(笑)。一緒に暮らしはじめた時が4歳。5月で8歳になります。
チャイ、いいお家に迎えられて良かったね。四年の間にスター猫になって…少し前になりますが、チャイが雑誌の表紙になり大きく話題になっていましたね。ファンの方々は駅の構内や地下道に貼られた雑誌の告知用ポスターの前で記念撮影をされていたようで。
私も同じようにやってしまいました(笑)。家にいるのに。
ーチャイとの生活がはじまり、濱中さんの生活にも大きな変化はございましたか?時間の使い方や働き方だったり。
ありますね。家に帰りたくなりましたね。特に今の家に引っ越してからは階段があるので、チャイが降りてくる姿が見られて、可愛いんですよ。チャイは全然ひとりで平気なんですけど、やっぱり週末明けの月曜日とかすごく甘えるので、後ろ髪を引かれる思いで仕事に行きましたね。いい感じにチャイに束縛されている気がします(笑)。それまでは旅行とかもバンバン行ってたんですけど、チャイと暮らしてからは考えて考えて、、減りましたね。うちは旅行するとき、環境を変えてチャイにストレスを与えたくないので、友達か家族に泊まってもらうんですよ。家中の使い方のファイルとか作って。だいたい分かってる友達なんですけど、一度夫婦ふたりで1週間出張というのがあって、その時も友達に泊まってもらいましたね。旦那のお母さんに泊まってもらったり(笑)。
ーー濱中さんのご自宅はミッドセンチュリーの家具とクラフトやアートがミックスされていて、採光も良く素敵な空間ですのでお泊りする方も嬉しいでしょうね。チャイもストレスなくお留守番できますね。
ご覧通り、誰が来ても平気で甘えるので。ご飯のときは特に(笑)。私たち夫婦が不在時も楽しくやっているようです。
ーそれでは今回パネルにしたものをご覧ください。こちらになります。
チャイ、見て!!すごいよ!とても軽いですね。
ーかなり軽量設計になっています。まずはどちらに飾りますか?
こちらのダイニングに。引きと寄りのと1枚ずつでバランスとろうかな?選びがたいです…。私たちがここでご飯をたべているとチャイもご飯を食べに来るんですよ。三食一緒に。ご飯は朝晩でわけてあげてるんですけど、なぜか上手に残したりして3回にわけてチャイも一緒に参加するんですよね。
ーそれは愛おしいですね。チャイのご飯とお水のボウルは、カリフォルニアの作家「Kat & Roger(キャットアンドロジャー)」のもので。なんとも贅沢でおしゃれな食卓です。このチャイの階段の上の段から見下ろした表情もたまらないですね。これはスマートフォンのカメラで撮った写真ですよね?
はい。一度熊本の実家に連れて行ったことがあって。飛行機だと不安だったので、キャリーバックにいれて膝の上にのせて新幹線でものすごく時間をかけて。それで、熊本の実家で階段を覚えたんですよね。それからこの家に引っ越してきて、楽しそうに登ったり下りたりしています
ー猫にとっての階段は絶好の遊び場ですよね。濱中さん、実際にフレームを飾ってみていかがですか?
いや~、本物がここにいるのにずっと眺めてしまいますね(笑)。「ギャラリータイプ」の浮いている感じとサイズ感がいいですね。思った以上に軽かったので飾りやすい。額に入れて、とかだと場所をとってしまうイメージなんですけど、少しのスペースでも飾れるのが良いですね。
ー次はリヴィングにも飾らせていただきますね。チャイはブリティッシュ・ショートヘアの中でも珍しいお色ですね。
そうですね。グレーっぽい子や白とグレーの毛色の子はいかにも洋猫っぽいんですけど、チャイってきなこっぽいというか、和風に見えるんですよね。でもはい。ブリティッシュです(笑)。(並べている様子を見て)めちゃくちゃ可愛いですね。あー、これでチャイの写真展やりたいです。
ー写真展が開催されたら、ファンとしては色んな表情のチャイが見られるので嬉しいでしょうね。フレームにしてもその魅力が溢れてますから。ちなみにチャイはいま何キロですか?
もらってきたときは5.5キロで、まだおなかとかしゅっとしてたんですよね。で、いまは7キロちょっとに成長しました(笑)。猫にしてはだいぶ大きく…なりましたね。チャイ、こんな風にパネルにしてもらえてホント良かったね。嬉しいですね~。
ー同じ場所に同じものを飾りっぱなしにするのも良いですが、季節や気分によって変えたりしたいときに、「WALL DECOR」の気軽さは適しているんじゃないでしょうか。推奨されるフックもサイトに掲載されていますのでご参考にしてみてくださいね。
はい。ありがとうございます。データだとあまり考えずに撮りっぱなしにしてしまいがちですが、こうやって気軽にパネルに出来て飾れるのはいいですね。
ーところで前職をお辞めになられて、ご自身のブランドをはじめたそうですが、これにもチャイからの影響はありますか?
チャイとの時間を作りたいなというのは正直ありましたね。もちろん命も限られているし、私が元気で健康でいて、相手をしてあげないとと思うと、働き方を変えるのも手だなと。いつもだいたい私が先に帰ってくるのですが、帰宅したら小一時間くらいは一緒にあそびますね。チャイの甘えタイムがあるんですよ(笑)。それを受け止められるくらいの心の余裕を残して帰ってくるようにしていますね。それから夕飯の用意するとか、ですね。ありがたいことに独立してからも色々とお声掛けをいただいて、もう少し時間があるといいな、とは思いますけど。退職すると同時にブランドをやろうと思い、「Uhr(ウーア)」という名前で立ち上げました。ドイツ語で時計とか時間という意味です。
ー「Uhr」というお名前には、ご自身が自分の時間軸で生きていこうという指標のようなものも込められているんですか?
洋服と時間の関わりを考えてみると、例えば写真もそうだと思うんですけど、自分の思い出に残っている場面て、何を着ていたとか、大事なあの日にこの服を着ていたとか、そんな風に時間と服って密接に関わっていて、思い出とも繋がっているものなんだな、と思えたんです。そういう時に「時間」でなにかいい単語がないかな?と思って出会ったのが「Uhr」だったんです。字面も響きも良いなと思って。服もずっと持っているとそれはやがてヴィンテージになっていきますし、そういった誰かのクローゼットの中でずっと大切にされている洋服、そういう長い時間を共に過ごすものであったらいいな、という思いもあります。
ーなるほど。濱中さんが洋服作りをするにあたり、インスピレーションにしているものはございますか?
私は生地や素材をじっくり見るのが好きなんです。例えばメンズに用いられる素材でも、面白いと思ったら使いますし。テーマを設けてそれに沿ってイメージを構築するデザイナーのような思考回路ではなくて、ひとつの素材から広げていくことが多いですね。前職からの影響か、そういう考え方が多かったように思いますね。
ー今の時代において、面で捉えるような分かりやすいもの作りが多い中、濱中さんは点から広げるような物作りなんですね。
そうですね。でもそういう生産背景って、お客さまの元に届くまで目に見えないことなんですけど、1000円のカットソーでも10000円のカットソーでもいい写真に仕上がってしまうと、正直その写真だけでは伝わりにくい部分もあるのですが、そこは出来る最大限のパフォーマンスを尽くしたいと考えていますね。
ー確かにビジュアルで伝えていくのか、言葉で伝えるのかという方法にもよりますよね。
はい。やれることは限られてますが、良さを伝えて。実際に手にとってもらったときに「あ、予想以上にいいね」って言ってもらえたら嬉しいです。いまパートナーの女性がひとりいて、彼女はマネジメントを担当してくれていて、私はディレクション担当で。どのような方向性で作っていこうとか、それをどのようなビジュアルでどうやって見せていこうかとか、そういったことを考えるのが私の役目ですね。あとはパタンナーさんもいますし、細かい仕様をデザインに起こしてくれるデザイナーさんもいますね。そういった人たちを介在して物作りをしています。今はクリエイティブの部分に注力できるのでとてもありがたいですね。
ー実際にブランドがスタートしてみていかがですか?
そうですね…会社員には会社員の良さがあるし、今は今ですごく自由になっている部分もありますね。個人で物作りをしていると、やっぱり限界もあって、要は素材からこれを作りたかったけれど、明らかにこなせない量をつくらないと実現しないとか、コストの問題にも当たっては来ますが、逆に言えば次の目標にもなるんですね。あとは責任のある自由みたいなものも感じていて、他人事ではいられないなって思いますね。どれだけ会社員時代に守られて来たのか、とてもありがたく感じることもしばしばです。あとは前職時代にマスな部分を見てきていて、それまでは自分の年齢よりも下の人に向けたエントリーアイテムを作っていたんですけど、30代半ばで立ち止まったときに、もうちょっと自分に無理のない状態で、努力のいるわがままなんですけど、好きな人たちと好きな時間に好きな仕事をしたいという目標があって、そのためにいい物作りをしていきたいなと思いますね。自分でも相当努力がいることだと覚悟はしていますが(笑)。
ーとても自然で無理のない、しなやかな考え方ですね。
そうですね。私はデザイナーになると決めてデザインの勉強をしてきたわけではないので、その辺は割と俯瞰で見れるような仕事をしてきたと思っています。数字を前提にした物作りも経て、それをわかった上で、どういったものをどれくらいのスタンスで出していくか、前職の経験も活かしていけたらな、と。まだ途上ですけど。
ー未来の目標はありますか?
どんな体型や年齢の方でも合わせやすい形の服を心かけているので、変わらずにずっと着てもらえるものを作っていきたいですね。そのまま変わらずに、出来る限り流されずに、洋服を作り続けたいですね。「Uhr」ってこういうものだよねって認知してもらえて着てもらえたら嬉しいです。
濱中鮎子(ayuko hamanaka)
熊本県生まれ。明治大学経営学部を卒業後、ビームス入社。 PR、ブランドディレクターを務めたのち、2016年秋に退社。その後フリーのPRなどをしつつ、2018年春夏コレクションより自身がデザイナー&ディレクターとなるブランド「Uhr(ウーア)」をスタート。
Uhr(ウーア)
http://uhr.co.jp/