「WALL DECOR journal」Vol.13は、小さな頃からの夢に真っ直ぐで、
今年から「絵描き」として本格始動しているという Izumida Leeさんにお話を伺いました。
ーWALL DECORを利用していただくにあたり、家族写真、風景写真と選ばれたものは様々でしたね。
いつも何かしら壁には掛けていて、部屋にずっといて(描くので)気分によって頻繁に変えています。自分 の掛ける作品はあまりないです。基本は友人の作品や出かけた先で買ったものとかです。普段から絵を描くので掛けるのは絵よりも写真の方が多いです。
これは87年に撮影した写真ですね。父親と2歳くらいのわたしだと思っています。お姉ちゃんなのか、わたしな のかいまいち分からないところがあって(笑)。WALL DECORでの写真(の再現)もいいですね。実家が離れ ているので、両親となかなか会えない。だからルーツをみえるかたちにしておこうと思ってこの一枚を選びまし た。昔から母親がよくカメラを手に写真を撮っていました。だから、彼女が写るものが少ないんです。
ー一般的には父親がカメラをもって写っていないことが多いのですが、逆のパターンは珍しいですね。ただこういった家族の写真については、以前すごく良いことを言ってくれた人がいました。写真にこそ写ってはいない けれど、これを写している人の視点が家族を見守る目線になっていて、写真の中に存在していないわけじゃないと。
なるほど、それはすごく素敵な考え方です。
ーこちらの男性はリーさんに撮られ慣れている感じがして、ごぐごぐ自然体。素敵ですね。
美容師の旦那を撮影したものです。ツーショットを全く撮らないし、お互いをあまり写さない。毎日一緒にいると変化が分からないので、撮って記録しておこうって思っています。全然撮らないから、写真館にも年1回 でかけています。そのくらいしか自分たちの写真ってないですよね。記憶に残るので、写真館に行くことを流行らせたいです
ーある家族が毎年一枚は記録に撮っているという話を聞いて、その写真を写真館からまとめてお借りしまし た。最初は小さな少年が、どんどん大きくなっていく成長の過程にも触れられて、そのうち結婚して、こどもができて、何十年という記録された写真はとても貴重なものでした。それで一枚のポスターを作りました。家族の歴史が1枚でみれて感動しましたし、定点で同じものを撮り続けることがすごくいいなと感じられるものでした。リーさんは普段からフィルムで撮られているのですか?
フィルムは2年ぐらい前からはじめて、父親からカメラを譲り受けて使っています。携帯のカメラで取るこ とに少し飽きがきてしまって、SNSも頻繁に投稿をしてはいるのですが、写真もたくさんありすぎて全然記憶に残ら ない。だからフィルムカメラを使って写真を撮る。そうすることで撮ったタイミングとかを思い出せます。
ー手にされている写真はどんな一枚ですか?
これは最近出かけたニューヨークの空港です。行く先々の空港は絶対撮るんです。国によって全然違うので 撮るのが好きですね。空港を見たいから、あえて乗り換えの必要な路線を選んだりしています。 ニューヨーク自体はいつでも行ける場所だと思っていたので、シアトルに暮らしていた時にも行く機会もなく、 今回が初めてでした。シアトルは15歳から21歳の時に居た場所です。当時は地元からただただ出たいという気 持ちが強かった。とんでもなく遠いところに出ちゃったけど(笑)。住む場所が変わっても、あとで気づいたの は日本と何も変わらないなということでした。むしろ、東京の方がすごいかもって感じました。東京に出てきた 時の衝撃が強すぎて、おそらくニューヨークに行ってもそれを超える驚きではなかったのかも。それと、どこに 行っても自分が画を描いていることに変わりがないからだと感じています。ニューヨーク滞在中は旦那の友人が いたので、会いに出かけたり、博物館や美術館をみてきました。絵の仕事をしていて美術館の規模と作品点数は やっぱりすごいなとは思いました。
ー移動を苦にされず、むしろ人一倍動かれている印象ももちます。動くことに躊躇ない感じですね。でもそれ がリーさんの何か切り替えるスイッチ的なものなのかもしれませんね。絵を描くこと自体は家でされている。 リーさんに流れている時間が24時間では済まされないような気がします。
動くことは自然なこと。動けるタイミングで流れにのってますかね。国内は仕事に紐づけて動くことが多い です。今はフリーですが、仕事勤めのときは海外に頻繁にはでれなかった。ただ仕事を辞めたときに両親の言葉 が浮かんだんです。以前から旅行には出かけた方がいいと言って薦めてくれていたのを思い出して、それから良 く出かけました。海外でもぜひ個展はやってみたいと思っています。出かけた後に、そこで出会ったものを描く ことはないですが、作品の色合いは変わりますね。ただそのうち描くこともでてくるかもしれませんね。そうな ると、なおさら忘れないように写真を撮っておこうって思います。画を描く時に、写真を見返したりすることも よくあります。
ー今のリーさんがあるのはどうしてですか?
基本的に小さい頃からの夢は変わっていないんです。お絵描き屋さん、画家、とただ歳を重ねて言 い方がかわっていただけです。
ー最近お見かけするのは花を題材としたものですが、以前はどんなものを?
スニーカーをひたすら描いたり、果物の断面図を繰り返し描いていました。物を覚えるのが得意ではないの で、何度も繰り返し描くことで記憶に残るようにしています。描きながら理解がすすみ、そろそろ良いかなと 思った時にそれを描くのをやめます。花もそろそろ終えて、今は魚に興味があります。面白くないですか?たく さん種類がいて、色やかたちも様々。これから描いていくことが楽しみです。
Lee Izumida
1986年、北海道生まれ。幼少期から絵を描き始め、アメリカ留学時に絵を学ぶ。2015年よ
り東京に拠点を移し、2019年より本格的に絵描きとしての活動をスタート。アクリル画の
作品を中心に、看板や宣伝美術、ウィンドウに用いられる絵や文字を描いている。