野村麻純メイン

「WALL DECOR journal」Vol.15は 女優 野村麻純さんにお話を伺いました。

 

2019/11 取材・文:BAGN Inc 撮影:藤堂正寛 

ー今回は野村さんに5つの写真をお選びいただきましたが、順にお伺いしていきます。まずは1枚目、これはどこでしょう?

野村:これは鹿児島にある霧島アートの森です。イスラエルのダニ・カラヴァンというアーティストの作品で、外から見た感じだと崖の上にトンネルがある感じなんですけど、これはトンネルの中から撮っているんです。外から見たら筒状の四角いものが突出していて、でも中に入ると自分の視界は狭まっていて。トンネルの先はガラス張りになっていて、視界が急に拓けていくんです。

 

野村麻純

ーこれはどういったタイミングで訪れたんでしょうか?

野村:これは昨年から1年間、BS11とTOKYO MXで全国の美術館をまわる番組に出演させてもらっていて、その番組で訪れた際に撮った写真です。今回ウォールデコにする写真を選ぶ際、私自身も美術館に行くことが好きだったり写真を撮ることも好きというのもあって、自分のブログやカメラの中を見返して選んで。その中でアートっぽいのを選ぼうとしたらこの写真かなと。全体的におしゃれな写真を選んでないというか、すごく素朴なものばかりですね。

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ーこの場所が気に入ったという感じですか?

野村:アート作品を見て思ったことをブログに書くのであれば、感想を自分の言葉にしてUPするまである程度時間の余裕がありますが、テレビ番組の時は見てすぐに伝えることなのですごく難しいというか、自分の感性をメディアで解放するってものすごく怖いと思いました。最初は言葉もすごく選びました。良い作品はそれこそ言葉に出来なかったりするし、言葉で伝えるものではない、とも思ってはいるんですけど、でもそれが仕事なので(笑)、ジレンマみたいなものがすごくありましたね。あとは芸術に詳しいわけではないので、かっこいいこととか良いこととかも言えないし、、、それで「素直になろう!」と思って。この番組の時は事前に作品を見ていなくて、カメラが入るのと一緒に私も作品を見るので、この時も初見でこのトンネルの中に入っていって、前に手を伸ばして進んで行ったんですよ。それをディレクターさんが「そういう風に作品を感じて向き合っているのはすごいことです」と褒めてもらったんです。それが自分の中ですごく嬉しかったんです。その嬉しかったことが思い出せる 1枚なんです。

ー素直になって表現された思い出の1枚なんですね。

野村:そうです。1年間、美術作品を見て思ったことを言葉で伝えるという経験も自分にとって良かったなと思います。そこでの経験を忘れないようにしたいなと思って選びました。

ーやはりメディアで伝えることは難しいんですね。

野村:最初はら抜き言葉も多かったですし、言葉遣いもそうですし。その作品に見合う言葉みたいなものが全然見つけられなくて。後から振り返ってもうちょっと見合う言葉があったな、なんてずっと反省してばかりでした。正解がないからなおさら悩むというか。あとアート作品は見ていて瞬間瞬間でも感じることって変わるじゃないですか。だから本当に難しいなと思いました。

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ーブログの写真を見ているとすごく素敵な写真を撮られている印象があります。写真は突発的に撮る方ですか?

野村:突発的ですね。本当に自分が「好き」と思ったから撮るというか、感覚で生きている人間なので(笑)。自分が撮られるよりもモノを撮る方が好きかもしれないですね。自分が撮られるっていうのは、映像だったら動きでごまかせるというと言葉は悪いのですが、写真はその一瞬を切り取るから逃れられないという感じがします。見透かさせているのかな?なんても思ったりもしますね。なんというか写真は、良く見せようと思っちゃうかもしれないですね。それでも昔より今は色々なものが外れて「ま、いっかな」と思えるようになりました。

ー続いてこの折り紙の写真についてお聞かせください。

野村:これは私ではなくて、いとこが折ったものなんです。男の子なので毎回戦隊モノとかで遊んだりするんですけど、そのあとに絵を描いたり折り紙をしたりして遊んでいたんですね。それでこれ、全部顔が笑っているんですよ。子供って誰かを喜ばせようとこんなことするんだなって、真心の極みじゃないですか。今回、何の写真にしようかとスクロールしていた時に、これを見つけてすごく手が止まってしまって。優しい気持ちになったというか。人を喜ばせるってこういうことなんだろうなって思いました。これは私が猫が好きだから、猫を折ってくれてそれで笑顔になるようにって笑った顔を描いてくれてるんです。たまらなく優しい真心だなって思って、私もそうありたいなって。いつも人に対してすごい真剣になってしまって、それで躓くこともあるんですけど、よくお寺の和尚さんに「情に厚すぎるから自分が滅びないように」と言われます。そういうの重いな、よくないなとも思ったりするんですけど、良いところも悪いところも表裏一体だから、こういう自分でも良いな、って思える1枚でもあります。

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ー改めて形にして、こうやって手に持てるようにしてみたご感想は?

野村:今回選んだ写真はどれもオシャレじゃないなと思いながらも全部好きなものばかりで、人が見てどう思うかはわからないけど、自分が大切に思える写真を形にして残すというのは、気持ちの面で原点に帰るじゃないけど、嬉しかったことを思い出して自分としても励みになりますし、目に見えてそこに在るというのはやっぱり良いですね。

 

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ー続いて、こちらはお花の写真ですね。こちらだけ違う「ミュージアム」という仕上がりをお選びいただいてますね。

野村:私、お花の写真が一番多いかもしれないです。ブログも毎回1枚はお花ですし、この写真でいうとビジュアル的にはこの花よりも綺麗な花も撮っているんですけど、個人的なポイントはこの花びらの赤ちゃんみたいなのがたまらなく可愛くて。花はいつ何時も美しいけど、その中でチョロンってあるこの花びらの赤ちゃんに惹きつけられたというか。家にもお花はいつも飾っています。私、おばあちゃん子でおばあちゃんがいつも花を育てている人だったので、怪我するとベランダからアロエを取ってきて塗ったり(笑)、そんな感じの生活だったので、花との生活はすごく密ですね。あと鹿児島の人ってお墓参りをすごくするんですけど、こっちで一人暮らしするようになって、なかなか鹿児島に帰省できないとずっとやっていたお墓参りができないモヤモヤみたいなのがあって、行きたいのに行けないというのを母に相談したら、「だったら家にお花を飾るだけでも違うんじゃない?」って言ってくれて。それからは自分のためだけに花を飾るというよりも、人のことも思って花を飾るようになりました。鹿児島はお墓参りをとても大事にしていて、中学校の頃とかも友達を遊びに誘うと「今日墓参りだからごめん」なんて断られることもありましたね(笑)。あと、この花の色はビタミンカラーで見ていて元気が出るというのもあります。

野村麻純
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ー今回ウォールデコをご利用いただいていかがでしたか?


野村:今一度自分のルーツが浮き彫りになるというか、いろいろ思い返せて、すごく自分が恵まれてるなと思いました。いろんなものもそうだし、自分の中で断捨離してアップデートできてると思っている部分もあったけど、これだけ大切にできているものもあるんだなと。大切なものはずっと手元に残っているし、思い出は消えないで残っていて、今の自分の日常を作っているんだな、と改めて思いました。自分が好きで撮っている写真なので、自分の好きなものが目につくところに置いておけるって、それだけで幸せだなって思います。

ー携帯の写真を送信するだけでこういうパネルになるというのはどのように感じられましたか?

野村:すごいですよね。自分の足で美術館などには行きますが、家にいて足を運ばずにこういったものがアート作品になるというのはすごく手軽だし、それがどうなるんだろうって待っている間の時間もすごく楽しみでした。仕上がりの素材もそれぞれ変えてみて、パネルができて初めてこんなに素敵になってという発見がありましたね。すごく嬉しかったです。箱を開ける瞬間もワクワクして、全部嬉しくて思わず「わ!」って声が出ちゃいました。あと自分の携帯だと小さい枠で見ているけど、こうして大きいサイズになって手で持てるというのはまた全然違いますね。視覚だけでなく触れるという実感はすごいですね。

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ー最近のお仕事などで何か印象的だったものなどはありますか?

野村:最近は鹿児島の伊佐市でショートムービーを撮りました。鹿児島出身なんですけど伊佐市は初めて行きました。景色も素晴らしくて、人がものすごく温かい方ばかりでした。その中で地域に密な状態で芝居をするという仕事で、行ってみてこれまで知らなかった鹿児島をまた発見出来た気がします。

ー女優を志したきっかけは?

野村:元々一人っ子でテレビっ子なんですよ。小さい頃からテレビをよくみていて、普通に進学で上京して、就活もして内定もいただいたのに、申し訳ないんですけど「なんか違う」と思ってしまって。そこから今の事務所のオーディションを受けて、その時初めて「人生一度きりだから」と思って、やらない後悔よりやった後悔の方が良いなと思って、無職になるのを覚悟で内定を蹴って、お芝居をはじめました。・・・今思うとなんかすごいなって自分のことながら思ってしまいますね(笑)。きっとどのお仕事もそうだと思うんですけど、この仕事って本当に何一つ無駄にならないなって思っています。自分がどんな経験をしても、どんな辛いことがあってもそれが自分の糧になるなと今は思うし、いろんな人と出会って、いろんなお話を聞いてそれも全部芝居の幅につながるといいなと思えるので、自分の日常生活が何一つ無駄にならない仕事ってほんと素晴らしいなって思っていて、それで周りの人にも喜んでもらえるなんてこれ以上のことはないなと思います。この仕事に進んで良かったって思っています。



ー今後チャレンジしてみたいことなどはありますか?

野村:私、三十代がすごく楽しみなんです。そのことを人に言うと「いや三十代は大変だよ」とか割と否定的なことを言われることも多いのですが、私はすごく楽しみで三十代を楽しく生きるために今の自分は底上げ期間だと思っていて、三十代を迎えるために今頑張ろうという。あとこの仕事を始めてから恩返ししたい人がたくさんいるので、まずは鹿児島に貢献したいなというのがありますね。私を育ててくれた場所であり、恩返ししたい大切な方もたくさんいます。

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Profile

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野村麻純
1990年10月10日鹿児島県生まれ
2011年「華話家の四姉妹」でドラマデビュー。 以降、ドラマ「11人もいる」(2011年)「とと姉ちゃん」(2016年)「トットちゃん!」(2017年)「透明なゆりかご」(2018年)「ブラックスキャンダル」(2018年) 映画「営業100万回」(2012年)「ペタルダンス」(2013年)「闇金ウシジマくんPart3」(2016年)などに出演。

オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/flamme-masumi-nomura/
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