わたしの写真幸福論


幸せを感じる一枚
『父のまなざし』
この2枚の写真に物心ついた時から惹かれていました。口紅を塗る母を撮影する父の愛情に溢れるまなざしや、当時家長として国や家の物語を背負わざるを得なかった時代を経る中で、それでも自分の物語を生きようとしている父親自身のまなざしを感じます。こうしたまなざしの積み重ねの先に、自分が存在するのだということがわかると、生かされていることがただただありがたく、人生が少しばかり楽になるような気がするんです。

佐野 史郎
俳優
1955年生まれ、島根県出身。母の実家は写真館で幼い時から写真に触れる。
1975年劇団シェイクスピアシアターの創立に参加。
1979年退団後、唐十郎が主宰する状況劇場を経て、
1986年「夢みるように眠りたい」(林海象監督)で映画デビュー。
その後、数多くの映画・TV・舞台に出演するほか、映画監督、執筆、音楽など多方面で活躍中。
2023年10月14日から「佐野史郎写真展 瞬間と一日」を彫刻の森美術館で開催。
佐野史郎の写真幸福論
母方の実家は島根県、出雲大社のお膝元の写真館。なので写真は幼い時から当たり前の存在で、特に意識することもありませんでした。写真を撮るようになったきっかけは、たまたまヨーロッパの骨董屋で入手したオールドレンズのフィルムカメラ。撮影しプリントすると、現在の空気が昔の時代のように柔らかく撮れて、未来からタイムスリップしてきたような気持ちになったんです。その時代の目がそこにある、というか、時間はレンズを通して超えられるのだなと気づいた感覚かな。今はレンズのないピンホールカメラで撮るのがとても楽しいですね。
歳を重ねることで、幸せの感覚も変わってきました。太古から続く歴史の中で、いま生かされている私たちの奇跡を感じる瞬間にこそ、幸せを感じるんです。少し前に大病を患ったのですが、とにかく生きたいともがいていました。一方で自分もこの人類の長い物語の一部なんだなと思うと、少しだけ気が楽になるんです。今、祖先が写真を撮ってくれていたことを、心からありがたく思っています。その時のまなざしがあって、今がある。写真の良さは、撮った人のまなざしがそのまま残ることではないでしょうか。そこに幸せの秘密が宿っているのかもしれません。
佐野史郎写真展「瞬間と一日」
会期:2023年10月14日(土)~2024年1月14日(日)
会場:彫刻の森美術館 丸太広場キトキ
彫刻の森美術館2024年カレンダーのため、約1年かけて撮影した彫刻の森美術館と美ヶ原高原美術館の作品を中心に、これまでの佐野史郎の写真活動を巡る89作品が展示されます。
https://www.hakone-oam.or.jp/specials/2023/shirosano.photographyexhibition/
会話と絆が生まれる
写真展パッケージ

写真を見ながら生まれる会話は
きっと、いい発見であふれてる。
いつもの仲間と、まだ話したことのない人と、
もっと深く、つながる時間を。
色が選べて
そのまま贈れる
フォトメッセージカード

写真に服を、着せたなら。
これまで写真は、ハダカでした。
裏面に色をまとわせて、写真はいま、
そのまま飾れる、贈れる一枚に。